本日は諸事情により、 カムとソリッドタペット調整の話をしようと思う。 皆のモビルスーツを快適に動かすためのメンテナンスだが、 少しばかり専門的な話になるので興味の無い者は退席しても構わないものとする。 Noriさんのブログを読まないなんて軟弱者! まずはこちらを見て欲しい。 右がソリッド、左が油圧となっており、自分のモビルスーツにはどちらが使われているのかを知る必要がある。 それぞれ調整方法が異なるからだ。 油圧は熱膨張率の異なる様々な材質で構成された部品を、温まろうが冷えようが、自動で調整してくれる機構である。 例えるなら、リジットフレームはソリッド、スイングアームにサスペンション付きが油圧と思って差し支え無いだろう。 サス付きの方が乗り心地が良いように、油圧リフターはタペット音を発生させない。 ではそもそも、タペット調整とは何であるのか。 基本的には油圧もソリッドも、このようなローラー付きのユニットに収まる仕組みである。 ローラーは、カム山に乗る。 プッシュロッドごと押し上げられ、ロッカーアームを介してバルブを押し下げると、吸気、排気を行うためのポートが開くという流れだ。 これがハーレー、ビッグツインのカムシャフトである。 バルブは強力なスプリングで押さえられているので、カムの山に追従するように開閉する。 よく聞く「ハイカム」というのは、この押し上げる量や、押し上げている時間を変更し、エンジンの特性を変えるためのパーツといえよう。 つまりカム、タペットローラー、プッシュロッド、ロッカーアーム、バルブステムまでの一連のシステムにおいて、 その連結部の隙間を限りなくゼロに近づけるのがタペット調整だ!! ローラーが付いたリフターは、「タペットブロック」というガイドに収まり、このような形で組み付けられている。 カムシャフトのカムギヤは、クランク直通のピニオンギヤを介して回されるので、反時計回りとなる事も付け加えておこう。 タペットブロックとユニットのクリアランス過多、ローラーのベアリングの摩耗による縦ガタ、カムシャフトの軸を受けるケース側のベアリングとカムカバー側のブッシュの芯が出ていない等、タペット調整を正しく行ったとしても、これらが原因でタペット音が消えない場合があるので注意してほしい。 稀にピニオンシャフトを受けるベアリングレースが動いてしまい、つまりはピニオンギヤが踊るトラブルもあるので覚えておきたい。 ピニオンギヤのカラーチャートについては後日扱うのもとする。 一気にやると、ちょっと勿体ないからだ。 こちらをご覧いただこう。 このような配置で、それぞれのカム山が設置されている。 カムシャフトが1本であるためにこのような配置になっているのだが、 奥のリヤ側インテークから外のフロント側エキゾーストへと移るにつれ、プッシュロッドの長さが増す。 外にせり出す構造上、フロントのエキゾーストが1番長い事になるのだが、距離があるのと同時に角度もキツくなり、つまりは音が出やすいという事を覚えておくといいだろう。 こちらはリヤ側のタペットブロックを外して撮影したものであるが、 このようにローラーが乗ってくるというわけだ。 ネットで検索すると実に様々な調整方法が載っていて迷うわけだが、そこはさすがNoriブログ。 動きと仕組みを理解せず、暗記一夜漬けのテストのような調整方法では戦えまい。 なぜそうするのか。 機械であるがゆえに、オカルトは存在しない。 「今日は機嫌が悪い」ではなく、「今しがた壊れた」や、「摩耗により調整が崩れた」が正解である。 では、いよいよソリッドタペット機構のプッシュロッドの取り付け、調整をしてみよう。 まず、プラグを外し、プッシュロッドカバーを外したらクランキングする。 キックが付いていないFLHなどは、リヤをジャッキアップしてギヤをトップに入れ、リヤタイヤを進行方向に回す。 フロントのインテークのプッシュロッドが持ち上がり、下がり始め、完全に下がったところが 上の矢印である。 ※(もっとクランキングさせるとフロントインテークのプッシュロッドはしばらく動かず、やがて持ち上がる。カムの形と、これが反時計回りであることを考慮すれば、その動きが理解可能であろう。) この時、下の矢印、フロントのエキゾースト側のカム山を見て欲しい。 ここもまた、プッシュロッドが押し上げられていない、つまり「エキゾーストのバルブも閉じている時」なのである。 まずはここを基準にフロントのプッシュロッドを調整し、更にクランキングさせて必ず1本ずつ微調整する。 カムの山からローラーが完全に降りた時、縦ガタがなく、指でつまんだプッシュロッドが少しテンションを感じながらクルクルと回る状態が正解だ。 回して固いところと緩いところがある場合、プッシュロッドの曲がりを疑うこと。 ・・・リヤもインテークが下がり切ったところでエキゾーストもセットし、1本ずつ確認して微調整すればいいんですよ。 最初に変なところ(バルブが開いているべきところ)でセットしてしまうと、インテークとエキゾーストのバルブが接触してバルブ曲げたり、持ち上がり過ぎてプッシュロッド曲げたりしてしまうわけです。 カムには吸気の効率を増す為の、オーバーラップと言うインテークとエキゾーストの両方が開いている時間が少しあるので、 変な所で調整するとバルブが閉まりきらずにエンジンが掛からないなんてこともあり得ます。 偉い人っていうか、カムとリフターがどういう動きをしてるかを見たことのない人には、それがわからんのですよ。 なんか超長くなって、途中で書くのをやめたい衝動に駆られたことは秘密にしてほしい。 では、各自タペット調整を行った後、「やよい食堂」に集合! タッパーなど持って行くのは遠慮してもらいたい。
by lwe31x
| 2015-01-23 23:10
| Tech
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